【海外の動き】タイにおけるSDGs の取り組み浸透状況、ベトナムバクニン省が環境汚染を引き起こした製紙工場を相次いで処分

事務局より海外の脱炭素・環境に関する動向をお届けします。

  • タイにおける SDGs の取り組み浸透状況

    2015 年に国連の持続可能な開発サミットにて採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」 に従い、国連加盟 193 ヵ国すべてが「誰ひとり取り残さない」(Leave no one behind)状態 での持続可能な発展に向けた取り組みを進めている。日本においてもここ数年でSDGsは広く社会一般に浸透しており、ビジネスの世界においても投資家によるESG投資、ダイベストメントの拡大により多くの企業が SDGs に対する自社の取り組み姿勢を示す必要が生じている。本稿では、タイにおける SDGs の普及状況と政府の方針を概観する。持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(Sustainable Development Solutions Network: SDSN)が今年6 月に発表した Sustainable Development Report 2021 “The Decade of Action for the Sustainable Development Goals”によ ると、タイの SDGs 17 目標の達成状況 総合スコアは ASEAN10 ヵ国の中でもっとも高い 74.2 で、165 ヵ国中 43 位で あった(表 1 参照)。2020 年 6 月に発 表された前回調査結果の 41 位(166 ヵ 国中)からは順位を下げたものの、全体としてはタイにおける SDGs の取り 組みは ASEAN 域内においても先進的で あると評価されていることがわかる。

    表1 ASEAN10ヵ国のSDGs達成状況評価

    持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(Sustainable Development Solutions Network: SDSN)が今年6月に発表したSustainable Development Report 2021 ”The Decade of Action for the Sustainable Development Goals”によると、タイのSDGs 17目標の達成状況総合スコアはASEAN10ヵ国の中でもっとも高い74.2で、165ヵ国中43位であった(表1参照)。2020年6月に発表された前回調査結果の41位(166ヵ国中)からは順位を下げたものの、全体としてはタイにおけるSDGsの取り組みはASEAN域内においても先進的であると評価されていることがわかる。なお、日本の達成状況評価は全体の中で18位と、2019年の15位、2020年の17位と毎年徐々に順位を下げているが、人口1億人を超える国の中ではもっとも順位が高い結果となっている。(1位フィンランド、2位スウェーデン、3位デンマークと、北欧諸国が1-3位を占めている。)

     次に、タイにおける2021年6月時点の17目標別の達成状況は表2のとおりとなっている。目標1(貧困をなくそう)については既に目標を達成済であると評価されているが、それ以外の16項目については課題が残っている。特に、目標2(飢餓をゼロに),3(すべての人に健康と福祉を),10(人や国の不平等をなくそう),14(海の豊かさを守ろう),15(陸の豊かさも守ろう)については、多くの課題が残っているとされている。目標15(陸の豊かさも守ろう)については、前年度から比べて状況が悪化しているとされており、森林減少や生物多様性の維持確保に大きな課題がある。

    表2 タイの各項目達成状況および傾向

    タイ政府が国連に提出した2021年における自主的レビュー(Voluntary National Review: VNR 2021)の中で、タイ政府は自国のSDGsに向けた昨今の取り組みについて、足元での新型コロナウイルス感染症による影響はあるものの、先代国王であるラマ9世が提唱し推進してきた「足るを知る経済」(Sufficiency Economy Philosophy)の考えに基づいた活動を土台として、2018年~2037年までの長期発展計画である「国家20ヵ年戦略」へのSDGsの組み込みが奏功し、全体として大幅に進捗していると評価している。その上で、首相を議長とした「国家持続的発展委員会」(National Committee for Sustainable Development: CSD)を中心とした体制で、タイSDGsロードマップに従い、政策への統合・融合、実現のための仕組み、パートナーシップ、パイロットプロジェクト、モニタリング・評価、意識啓蒙に取り組んでいくとしている。

    1980年代以降、急速な工業化によってめざましい発展を遂げてきたタイでは、その発展の代価として、環境影響や社会構造など様々な側面で「歪み」が生じ、それが現在も続く大規模デモなどの形でここにきて顕在化している。こうした問題の解決に向けても、「誰ひとり取り残さない」社会の実現に向け、これまでの発展重視の社会構造・制度からの大胆な変革が求められている。

 

  • ベトナムバクニン省、環境汚染を引き起こした製紙工場を相次いで処分

    ベトナム北部のバクニン省人民員会は、手工業村のひとつであるPhong Khe製紙村の町工場3社を環境保護法違反で処分した[1]。3社は4~6ヵ月の活動停止、法に則った排水処理設備設置の命令を受けた。罰金総額は13億VND(約620万円)。処分を受けたのは、Phuong Hai製紙会社(環境影響報告不履行で罰金3.5億VND(約168万円))、Tan Hoang Nga製紙会社(環境保護設備確認書未取得、法定排水基準値10倍以上の汚染水を1日5 m2未満の排水で罰金5.2億VND(約250万円))、Hung Thinh Bac Ninh製紙会社(環境影響報告不履行、法定排水基準値10倍以上の汚染水を1日5 m3未満の排水で罰金5.1億VND(約245万円))である。

(日本テピア株式会社)

[1] Tai nguyen & Moi truong (https://baotainguyenmoitruong.vn/bac-ninh-hang-loat-cong-ty-san-xuat-giay-bi-xu-phat-vi-gay-o-nhiem-moi-truong-326311.htmleton)